「M&As, Alliances and Corporate Strategy (MAACS)」という授業。教授は、Laurence Capron先生。厳格だけど品があり、暖かい。3児の母(らしい)。
たった8回の授業だったけれども非常に示唆の大きい授業でした。
世界中の企業のM&A動向を研究したアカデミックな研究結果を参考にしつつ、いくつかの企業のケーススタディをして、戦略との適合性、発生しうるリスクを考慮しながら具体的な実行案について考え、クラスで議論を戦わせるのです。
まず、改めてショックだったのは、「M&Aは、ほとんどの実施企業が実は失敗に終わっている」こと。確かに言われてみれば、合併のニュースが大々的にヘッドラインを飾ったかと思えば、実はうまくいかなかったという例が多いような気がします。
当然のことながら、企業の合併を考える際は、どの多角化を目指すのか、マーケットはどう反応するか、組織の統合のあり方、ネゴシエーション、進出先の特異な要素(とくにEmerging marketの場合)等、様々な側面から検討する必要があります。
M&Aの授業でしたが、結局のところ、「M&Aはあくまでも最後の手段であるのでそんなに簡単に手を出すべからず」というのがテイクアウェイでした。
M&Aは、企業が新しいことをしたいときにどうしても足りないところがあるから、では他の会社からリソース(人材とか、技術とか、営業拠点とか、工場等)を調達しちゃおう、というものです。ただ、一番お金がかかるだけでなく失敗のリスクが高い。お互いが目指す方向性の不一致、組織文化の差が大きな原因となるようです。
だから、そもそもの目的を達成するために:
- 足りないところは内部のリソースでなんとかできないか
- 足りないところだけを外注できないか
- M&Aまでは深入りしないけれども、アライアンスというかたちで外注よりは深く提携しあえないか(大抵、株式の持ち合い等の関わりが発生します)
を検討しまくる必要があるのです。
M&Aは結局、法的な面から見ても同じ会社になってしまうという意味で、まるで結婚関係に例えられるとのこと。アライアンスはそれなりに深くかかわり合うけれども、比較的撤退しやすいという意味で、つき合っている時の関係として例えられます。いやだったら別れられますからね(場合によっては別れた後にひどいしこりが残るというのも似ているかもしれませんが・・・)。
だから、とりあえずつき合ってみて、どうしてもお互いが必要で、かつ、相性が抜群にいい、ということがわかってはじめて、結婚に進む。安易な比喩かもしれませんが、直感的にわかりやすくないですか?
なんでM&Aはリスクが高いのに、つき合うことなしに結婚を考えてしまう経営者が多いんでしょうね? 野望でしょうか?
M&A、アライアンスの成功例で個人的に特に面白かったのが、アメリカの会社シスコのM&A戦略のケーススタディと、我が国ホンダとインドのHEROのアライアンスのケーススタディでした。また別の機会に、紹介していきたいと思います。
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