2011年9月13日火曜日

意思決定をするための練習

Models for Strategic Planning - この授業はとって本当に良かった。

「我が社は全国数カ所でワインを製造しており、各地のレストランに販売している。もっとワインを売って利益を最大化したいのだが、最も需要の高いレストランの近くにある工場の製造能力には限りがあり生産が追いつかない。かといって遠くの工場で作ると運送にコストがかかってしまう。外注に出来合いのワインを発注するというオプションもある。こうした中で、どの工場で何本自家製造し、外注には何本注文するといいか」

「あなたは鉄の製造工場の責任者。需要が急速に伸びていて、工場の生産能力の拡大を検討している。しかし、原材料費が高騰していて、生産すればする程赤字になる可能性がある。また、需要拡大にも不確定要素が多く、生産能力を拡大したところでムダになる可能性もある。あなたは、投資の決定を判断するべきか、否か。また、決定にはどんなオプションがあるか」

おそらく、ビジネスをしていれば、こういう意思決定に直面する機会も少なからずあることと思います。いや、むしろ、こういう意思決定の連続がビジネスなのでしょう。

「意思決定とは何ですか?」教授のこの一言からこの授業は始まりました。

うーん、何らかの目的を達成するために何をするかを決めること? 改めて聞かれると、そんな漠然とした答えくらいしか思い浮かばない。。。講堂にいるみんなもどうやら同じ答えの様子。

次に、「正しい意思決定とはどんな決定ですか?」と問いただされました。目的を達成する結果が出せた意思決定? みんな、これまでの流れが頭にあるからか、さっきと同じような答えしか出てきません。

すると誰かが「正しい意思決定とは、後悔しない決定のこと」と言い、そこで教授が大きくうなずきました。「そうなんだよ、正しい意思決定って、適切なプロセスを経て決める決定のこと。しっかりといくつものオプションを検討して、後から考えた時に、自分は正しいプロセスを経た、と言えるのが正しい意思決定。結果じゃなくてプロセスが大事なんだよ」

えぇ? 結果じゃないの? そんなこと、考えたこともなかった。

私は、本当に意思決定が苦手な人なのです。自宅マンション購入の際も、転職先を見つける際も、もちろん仕事でも、だらだらと時間をかけてしまうとか、もしくは、あまり考えずにとっとと決めてしまうとか、後から考えると、あーこうすればよかった、ああすればよかった、と後悔することが多かったのです。思い起こしてみれば、判断基準が曖昧だったため後悔しているのであって、確かにプロセスに問題があったと言えます。

この授業は、ビジネスで戦略的な意思決定を行う際の手法を学び、それを実際にワークショップ形式で体で覚えていく、という、塾を思い出すかのような授業です。具体的には、意思決定をする時の枠組み、検討事項、オプションを、適宜ささっと思いつくようになるまで練習します。ここでは何事も数値化するのが鉄則なのですが、計算には、金融モデルを作るときのツールでもあるエクセルのソルバーというアドインや意思決定ツリーなどのツールを使います。

ただし、正解はない場合が多く、それは、それぞれの人がどのような価値基準に基づいているかによります。例えば、冒頭の例題の場合だと、「どうせ需要は変化するのだから、身軽のままで迅速に商機をつかんでいくためには、多少利益は圧縮されるかもしれないけれどもアウトソースを選ぶ」、とか、「いやいや、これから需要は伸びるのだから、投資をして需要の高いレストランに近い工場の製造能力を増やす」とか、いろんな決断があるのです。

何度も何度も繰り返して練習していくと、それぞれの手法が頭に染み付いてきます。私の場合は、この授業を受けてからは、日常のこまごまとしたことから、人生の節目となる判断に至るまで、知らず知らずのうちに学んだ手法を頭の中で応用していて、判断のスピードが早くなったばかりか、決定に対して後悔することがほぼなくなりました。

これからも、忘れずに日常生活だけではなく、もちろん、ビジネスの場でも生かしていきたいと考えています。

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