2011年9月22日木曜日

INSEADにはJapan ClubとかJapan Trekはないです

はっきりと言いますが、INSEADには、他のビジネススクールにあるような「Japan Club」とか「Japan Trek」はないデス!

それはズバリ、いい意味で「ニーズがない」ことが原因かと。

一体どういうことかというと・・・

1.日本の文化・ビジネスには既に一定の理解を持っている
INSEAD生の多くは、元々自国に留まらず、海外ビジネスや海外旅行であちこちを飛び回っている人がほとんどです。中でも、驚くことに、日本のことは結構知っている、ないしは、日本になら行ったことがある、という人が比較的多いのです。

2.日本にまでTrekに行く時間がない
また、INSEAD生は、びっしりのスケジュールの合間をぬって旅行に行くので、最長でも2泊くらいでないとTrekとして魅力的ではありません。(実際近隣国であるドイツやイギリスのTrekはありました)日本は高いから、行くのであればせっかくならばゆっくり時間をとって行きたいという人も多かったです。

・・・という感じですかね。

しかし、INSEAD生ったら日本をよく知ってること!

P2の戦略の授業の中で、Horizontal Integration(企業の水平統合)という概念を学んだ時、例として教授が日本のケイレツの代表である「MITSUBISHI」のことをあげました。そして、教授から「MITSUBISHI」はどんなビジネスに関わっているかと聞かれた時、クラスルームのあちこちから「貿易」「自動車」「電化製品」というよく知られているビジネスだけではなく、「軍需」「化学」「ビール(キリンビールもグループ会社なので)」といった、よく知ってるな〜と思わせられる事業が次々と上がり、それを教授が黒板に書き込んでくと、ものの2、3分で黒板が埋まってしまったのです。

私のクラスメートでは、日本人が血液型にこだわることを知っている人、オノマトペ(ザーザーとか)の利用方法を聞いてくる人、牛角のファンの人、とんかつのまい泉のファンの人、私より日本酒の産地やお祭りに詳しい人など、日本を知る人が多くて本当にびっくりしたものです。

また、日本語をしゃべることが出来る人は、うちのクラスで3名(70名中)いました。

INSEAD、そこには世界数十カ国からの生徒が集まります。ヨーロッパのビジネススクールの最もいいところのひとつである、「国際性」は、INSEADの中ではより一層際立ちます。それは、Admissionが出身国10%ルール(同じ国からは10%以上入学できない)と3カ国語ルール(英語、母国語の他に、もう一つ言語を習得する必要がある)をきっちりと守っていることに他ならないと考えています。

日本を代表してINSEADに行くというのは確かにそうなのですが、それは、INSEAD生に対して「日本は製造業が強い」とか「着物を着る」という基本的事実を紹介するのとは違う、と実際にINSEADでの経験を通じて痛感しました。私にとっては、そうした「事実」を踏まえながら、自分が日本という国に生まれ育って、何を感じ、何を学び、何を経験してきたか。それに基づいて自分の意見をグループワークやクラスルーム、または社交の場でしっかりと伝えることこそが重要だったと思っています。私は、それこそが、今後益々進む世界の国際化の中でビジネスパーソンとしてやっていくために非常に役に立つことだと思うのです。

2011年9月13日火曜日

意思決定をするための練習

Models for Strategic Planning - この授業はとって本当に良かった。

「我が社は全国数カ所でワインを製造しており、各地のレストランに販売している。もっとワインを売って利益を最大化したいのだが、最も需要の高いレストランの近くにある工場の製造能力には限りがあり生産が追いつかない。かといって遠くの工場で作ると運送にコストがかかってしまう。外注に出来合いのワインを発注するというオプションもある。こうした中で、どの工場で何本自家製造し、外注には何本注文するといいか」

「あなたは鉄の製造工場の責任者。需要が急速に伸びていて、工場の生産能力の拡大を検討している。しかし、原材料費が高騰していて、生産すればする程赤字になる可能性がある。また、需要拡大にも不確定要素が多く、生産能力を拡大したところでムダになる可能性もある。あなたは、投資の決定を判断するべきか、否か。また、決定にはどんなオプションがあるか」

おそらく、ビジネスをしていれば、こういう意思決定に直面する機会も少なからずあることと思います。いや、むしろ、こういう意思決定の連続がビジネスなのでしょう。

「意思決定とは何ですか?」教授のこの一言からこの授業は始まりました。

うーん、何らかの目的を達成するために何をするかを決めること? 改めて聞かれると、そんな漠然とした答えくらいしか思い浮かばない。。。講堂にいるみんなもどうやら同じ答えの様子。

次に、「正しい意思決定とはどんな決定ですか?」と問いただされました。目的を達成する結果が出せた意思決定? みんな、これまでの流れが頭にあるからか、さっきと同じような答えしか出てきません。

すると誰かが「正しい意思決定とは、後悔しない決定のこと」と言い、そこで教授が大きくうなずきました。「そうなんだよ、正しい意思決定って、適切なプロセスを経て決める決定のこと。しっかりといくつものオプションを検討して、後から考えた時に、自分は正しいプロセスを経た、と言えるのが正しい意思決定。結果じゃなくてプロセスが大事なんだよ」

えぇ? 結果じゃないの? そんなこと、考えたこともなかった。

私は、本当に意思決定が苦手な人なのです。自宅マンション購入の際も、転職先を見つける際も、もちろん仕事でも、だらだらと時間をかけてしまうとか、もしくは、あまり考えずにとっとと決めてしまうとか、後から考えると、あーこうすればよかった、ああすればよかった、と後悔することが多かったのです。思い起こしてみれば、判断基準が曖昧だったため後悔しているのであって、確かにプロセスに問題があったと言えます。

この授業は、ビジネスで戦略的な意思決定を行う際の手法を学び、それを実際にワークショップ形式で体で覚えていく、という、塾を思い出すかのような授業です。具体的には、意思決定をする時の枠組み、検討事項、オプションを、適宜ささっと思いつくようになるまで練習します。ここでは何事も数値化するのが鉄則なのですが、計算には、金融モデルを作るときのツールでもあるエクセルのソルバーというアドインや意思決定ツリーなどのツールを使います。

ただし、正解はない場合が多く、それは、それぞれの人がどのような価値基準に基づいているかによります。例えば、冒頭の例題の場合だと、「どうせ需要は変化するのだから、身軽のままで迅速に商機をつかんでいくためには、多少利益は圧縮されるかもしれないけれどもアウトソースを選ぶ」、とか、「いやいや、これから需要は伸びるのだから、投資をして需要の高いレストランに近い工場の製造能力を増やす」とか、いろんな決断があるのです。

何度も何度も繰り返して練習していくと、それぞれの手法が頭に染み付いてきます。私の場合は、この授業を受けてからは、日常のこまごまとしたことから、人生の節目となる判断に至るまで、知らず知らずのうちに学んだ手法を頭の中で応用していて、判断のスピードが早くなったばかりか、決定に対して後悔することがほぼなくなりました。

これからも、忘れずに日常生活だけではなく、もちろん、ビジネスの場でも生かしていきたいと考えています。

2011年9月7日水曜日

INSEADの卒業生は結束が固い

どのビジネススクールでも、受験の為に説明会に行くと「○○,○○○人の卒業生ネットワーク」ということが、その学校の売りとして出てくると思います。が、それがどんな風に生かせるのか、具体的なイメージまで湧くことはないでしょう。

INSEADもそんな学校の一つと思いますが、ここでは、私が真に感じたINSEAD卒業生のネットワークのすごさをお伝えしたいと思います。

まずは、就職活動の際の助け合い。INSEAD.Connectという卒業生用のオンラインコミュニティがあり、これまでの卒業生が、居住国、現在勤めている会社や連絡先等を登録しています。そこには、現役の学生も入ることができ、就職先として応募したい企業に勤めている人を抽出することができます。私の場合は、とある企業に応募した時に、その企業に勤めている人にコンタクトし、実際に会わせてもらったり、電話で話したり、メールのやり取りをするなどして、企業風土や面接への率直なアドバイスをもらうことができました。また、社内の同僚に面接官のバックグラウンドを聞いてくれたりして、本当に役立ちました。見ず知らずの学生からの突然の連絡にも、「INSEADだから」という唯一の理由で、こんなに親身におつき合いいただいたのです。

そして、日本でのINSEADのアルムナイの交流もこれまたすごい。2ヶ月に一回、同窓会があるのですが、必ず、最低20〜30人は集まります。年に一度のクリスマス会ともなると、200人は超える参加者。もちろん、人脈作りやなつかしい同級生に会うというのもメリットですが、INSEADだと、さらにひと味加わるのです。INSEADの卒業生は起業家が多いのですが、日本でも例に漏れず、こうした集まりにいくと、そのビジネスはこうだ、ああだ、人材はこうした方がいいああした方がいい、とありとあらゆるアイディア、意見が活発に交換されています。実は他のビジネススクールの同窓会にも参加したことがあるのですが、参加人数、その場の雰囲気ともに少し控えめな感じで寂しく感じたものです。INSEADって本当にすごいんだ!と実感しました。

INSEADの結束の固さを最も感じたのは今回の東日本大震災の時です。地震発生後すぐに、日本人のINSEAD現役生で話し合いを進め、校内で義援金を募ることを決めました。事務局(MBA Programme Management)、就職課(Career Service)のいち早い理解を得ることができ、数日で募金サイトを立ち上げました。その後、世界中のアルムナイにメールを送ると、たった2週間程で、446名もの異なる卒業年のアルムナイから、50,000ユーロを超えるお金が集まったのです! (中には一人で1,000ユーロ募金して下さるアルムナイもいたりして、びっくり!!)史上最悪の事態となった今回の大震災の危機的状況にすみやかな理解をし、社会的責任に基づいて迅速に行動を起こす、というINSEADイズムのようなものを感じ取りました。

しかしINSEADの結束が固いのは何故なんでしょう?
まったくの私見となりますが、INSEADではみんなが「外人」であり、学校生活だけでなく私生活をも助け合いながら10ヶ月間をみっちり過ごす、というのが根底にあると思います。フォンテーヌブローもシンガポールも小さな町ですが、住むという意味でははじめてという人がほとんどです。「外人」として、言葉もしゃべれないし、町のことは最初は何も知らない訳ですから、みんなが情報を交換しないと生きていけないのです。たとえば、不動産、日用品買い物、レストラン、イベントなどの情報等です。しっかりと社交の輪の中に入っていないとこうした情報を入手することはできず、一方で輪に入れば、情報交換だけではなく旅行等いろいろな行動を共にしていき、学校生活での助け合いも進みます。こうしていくうちに、INSEADとしての絆が深まっていくのです。

私が本当に誇りに感じているINSEADの一面でした。

2011年7月29日金曜日

フランスのベビーシッター制度はスバラシイ!!

フランスではベビーシッター制度が充実しており、0歳児でも気軽にあずけることが出来ます。このベビーシッターは、フランスではNounou(ヌヌと発音)と呼ばれており、日本でいうベビーシッターとは若干違います。

特徴としては、まず、ベビーシッターさんのお宅で子供の面倒を見ることがあげられます。これは、すなわち、各ベビーシッターのこれまでの経験・知識がぎゅーっと凝縮したシステムが各お宅で整備されているということであり、ママたちはミルクとおむつさえ持っていけば、なーんにもする必要がありません。これは本当に便利!

また、1人のベビーシッターで複数の子供の面倒を見ているので、いわば「プチ保育園」のような感じになります。うちの子は生後3週間過ぎてから、ベビーシッターさんにお世話になり始めましたが、他に4人の子供がいたため、いつもかまってもらっていたみたいです。小さい頃からいろいろな人とコミュニケーションができるなんて、知能・社交性をのばすためにいいような気がしてならない。。。ちなみにうちの子は、眠い時とお腹が減った時以外は泣かず、大体ニコニコしてます。

そして何しろ安い! パリのような都会だと別かもしれませんが、フォンテーヌブローだと1時間あたり3〜4ユーロ。そして、Caisse Allocation Familialle (通称CAF)と呼ばれる社会保障関連のことを扱うところで申請をすると、前年度の収入に応じてベビーシッター代の何割かが還付される仕組みもあります。私は利用しませんでしたが、私のフランス人の友達はこの制度を利用し、1時間2ユーロくらいにまでなったとか。



そして、こうしたベビーシッターさんが数多くいるため、見つからないということがないのです。このため、「子供をあずけられないから復職できない」というママは皆無と思います。私も、こうした制度があったからこそ、産後1ヶ月で学業に復帰できたのです。

ちなみにうちの子はこのベビーシッターさんが本当に大好きで、毎日預けにいくと、ベビーシッターさんの顔を見るなりニッコリ、でした。

MBA修了!

10ヶ月ってあっという間。。。

2011年7月7日に、INSEADのMBAを修了いたしました!

2月に子供を産み、3月に授業に復帰し、夫やベビーシッターさん、そしてINSEADのたくさんの友達に支えられながら無事に終了することができました。本当にみんなに感謝です!!!


うちの子がお腹の中にいるときから始めたINSEADのMBA。終わるときも一緒にいたい!という思いで、修了式の時はうちの子も連れて行っちゃいました。

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と、ほとんどこのブログを更新していなかったということに気がつきまして。勉強したことの備忘録としての役割も兼ねたいと思っていたので、これから復職までの間、これまでの授業等について、書いていきたいと思ってます!

New York TimesにINSEADの記事が載りました!

INSEADってアメリカの学校とこんなところで違うんだ、というのがうまく書かれています。

受験を検討の皆さん、ぜひぜひご覧下さい!

http://www.nytimes.com/2011/07/24/education/edlife/edl-24europe-t.html?pagewanted=all

大まかに言うと、

  • ケース(授業で扱う企業の事例)の国際性
  • 生徒の多様さ
  • 「数字」よりも「関係」を大切にする
  • 1年で終わる(=スケジュールが相当きつい)

といった感じでしょうか。。。

INSEADは戦略コンサルタント養成学校?

最近、「INSEADって戦略コンサルタント養成のための学校なのでは?」と感じることが多くなってきました。私自身の授業の取り方にも偏りがあるかもしれませんが、アカウンティング、ファイナンス、戦略、マーケティングといろいろな種類の授業を取る中、節々でコンサルタント的な思考、アプローチが求められることが多いような気がするのです。

まず、アカウンティングでもマーケティングでも、多くのクラスに共通して言えるのは、「考え方」を学ぶ場であるということ。自社、競合、市場の状況による打ち手のパターンというか、定石のようなものを学びます。もちろん、これは教授の思いつきではなく、実際の世界中の企業のデータに基づいたもの。また、分析をする際には、フレームを使って物事を見る癖をつけることが求められます。もちろん個別企業の事例自体を学ぶことも大切とされていますが、その中での「事象」を「汎化」させ、これから起こることを「予測」し、具体的な打ち手を考える、というアプローチが多いように感じます。」

また、プレゼンの仕方もコンサルティングの現場で行われるようなプレゼンをするよう、教授より指示されることが多いです。授業によって細かいところは異なりますが、大まかに言って、「課題の明確化(Issue)」→「現状把握(Explain)」→「分析(Describe)」→「今後取るべきアプローチ(Proposition)」といった流れで進めることが求められる。

先生が話す内容の節々にも、コンサルの面接を意識した発言が本当に多いです。例えば、「こんなことコンサルの面接で言ったら面接官も目からウロコだよ(P2のManagerial Accountingの先生)」「君、そんな回答をしたらコンサルの面接で速攻落とされちゃうよ(P4のIndustry and Industry Analysis CompetitiveのKarel Cool教授)」といった感じ。これは、P2からP4までの間(P4にコンサルファーム採用募集があるため)、に顕著に見られます。

MBA修了後にコンサルを目指している方、INSEADは相当おすすめかも!?

2011年2月25日金曜日

私がINSEADに来たかった理由

自己紹介のところでも書いている通り、私は千葉出身千葉育ちの、グローバルな観点から見れば相当な田舎者です。そんな田舎者が何故INSEADだったんでしょう?

それは、「INSEADの価値観に共鳴した」ということに他なりませんでした。

たまたま高校の時に、何人かの素敵な外国人の方と知り合う機会がありました。彼らは、母国語、英語、日本語と最低3カ国語を話すことができました。私なんか英語だけでも精一杯だったのに、彼らは、英語も、日本語も、なんです。

また、「将来何をする?」というような会話になると、「自分の国に戻ってビジネスをする」「今度は今までに行ったことのない別の国に行って働きたい」といったようなことを言っていました。「え!? 英語ができるんだったらアメリカに行くんじゃないの?」田舎者の私にとっては、「インターナショナル=アメリカ」でしたから、とにかく彼らとの接触を通じて何もかもが新鮮だったんです。

そこから、私の世界観ががらりと変わりました。インターナショナルな人間になるためには、英語だけでなくもう一つの言語を勉強しなければ、と思ったし、将来は、「日本人」としてインターナショナルな仕事に就きたい、と思うようになったのです。

大学在籍時に市場調査会社へ就職先が決まりましたが、第一希望の企業ではなかったので、3年働いたら転職し、さらに3年働いたら海外のMBAに行き、ステップアップを目指そうと決めていました。市場調査会社では、日本企業の海外展開のためのマーケティングをしていましたが、もっと戦略等の面で踏み込んだ提案ができるような仕事に就きたかったのです。

そんな時に知ったのがINSEADだったのです。これまでMBAというとビジネスの知識を詰め込むところ、という風に考えていたので、「インターナショナルになるには最低でも3カ国語」と、これまで私があたためてきた価値観と同じ価値観を持つビジネススクールが存在するんだ!!と多いに感動しました。こんな環境の中でビジネスが勉強できれば、夢に一歩近づけるのではないか、と考えたんです。

それから、「MBA=INSEAD」と同義語になり、ひたすらINSEADへの入学を夢見てきた訳です。

実は、出願のエッセイでも大体これと同じようなストーリーでそのまま書きました。私は社費派遣なので、勤め先の海外展開に関わるもっと具体的な話には落とし込みましたが。また、エッセイカウンセラーのアドバイスに従って、「INSEADに入ったらこんな授業をとりたい」といった、いわゆるMBAエッセイの文法も守りました。

INSEADのインターナショナルに関するポリシーは古くからあるもので、それは今になっても揺るぎません。また、本当に多様な人種が集まる学校なので、インターナショナルのあり方も、もともとハーフだったり、帰国子女だったり、海外勤務の経験がある、といった具合で非常に多様です。

これからINSEADに出願される方の中には、いわゆる海外経験のない方もいらっしゃるかもしれません。ただし、ないならないなりに売り方もあるような気がするのです。私は、「自国内でのプチインターナショナル経験」&「田舎者ならではのインターナショナルに対するあこがれ」でいわゆる典型的なINSEADプロファイルではないところを逆に売りにしました。そうした「田舎者」な面も受け入れてくれる、それがINSEADの多様性を形成するものなのではないかと思うのです。

フランスでの出産

娘が生まれてから3週間。
少しずつですが、子育てのリズムがつかめてきました。

幸いなことに、うちの子は夜よく眠ってくれるので、本当に助かっています!


さて、私は出産をフランスで迎えましたが、特にフランスって日本と違うんだ!と思ったことをご紹介したいと思います。

まず、「痛みを取り除く」ことに命をかけているところには相当な感銘を受けました。まず、無痛分娩はデフォルト。よく「鼻からスイカ」なんて聞いていましたが、無痛だと本当に痛くないので、出産すること自体を苦痛とは思えないのです。また、産後は、筋肉がリラックスするため母乳の出が良くなる、という理由で痛み止めをがんがん与えられます。「痛い?」と聞かれて「少し」と答えるだけで、3日分くらいの痛み止めは簡単にもらうことができます。

また、「らくちんなやり方を追求する」というのも相当気に入りました。例えば、

  • 授乳は疲れるから寝っころがってやるべし、
  • 沐浴は2日に一回でいい、
  • 搾乳機は電動で両方いっぺんにとれるものを使うべし、
  • 夜中赤ちゃんが泣き止まなければとっととおしゃぶりをなめさせるべし、

等々、教えてもらえる手抜き手法をあげるときりがない感じがします。

あとは、「子育ての不安があるならばプロによるアドバイスを受けさせちゃおう」というのも。退院の時に、家庭訪問をしてくれる助産婦さんを病院から紹介してもらえます。この助産婦さんは、帰宅後のお母さん&赤ちゃんの経過を見にきてくれるだけでなく、子育てのこつもしっかりと教えてくれます。ちなみにこれは、社会保険に入っていれさえすれば、費用を国に負担してもらえます。

こういうのって、日本も真似すればいいのにってすごく思います。特に、フルタイムで働く女性が増えてる中、出産や子育ての苦痛や不安、費用負担が少しでも軽減できれば、多少は少子化対策にもなりそうなものなのに、と思うのです。

2011年2月13日日曜日

英語の苦悩

突然ですが、私は帰国子女でもなんでもなく、千葉生まれの千葉育ち。父は建設関連の会社を地元で運営。母は同社の経理。筋金入りのドメスティックです。

しかも英語といったら、中学生の時は最大の苦手科目っていうくらい、本当によくわからない世界のものでした。

正直言って、最初の4ヶ月間、INSEADでの英語の環境は本当につらかった。

まず、INSEADでは教員も世界各国からくるため、それぞれに独特のなまりがあり、非常に聞き取りが難しかったりします。そして、最もきついのがクラスメートの英語のなまり。これは教員とは非にならないくらいなまりが多様で、ドメスティックの私にとっては、クラスメートの発言をひろって議論に参加する、というのが本当に困難極まりなかったのです。

特につらかったのが、グループメートとのコミュニケーション。オーストラリア人、ナイジェリア人、フランス人、ウルグアイ人と一緒でしたが、それぞれ何を言っているのかが本当にわからなくて、何度も、「そこよくわからないからもう一度説明してくれないか」といったお願いをしてみんなに迷惑かけていました。

ふと、ある疑問が思い浮かびました。こんなに多様ななまりで、他の人たちはお互い理解し合っているのか、と。

実は、そんなに深くは理解し合ってないみたいなんです。というより、何となくふわっとした感じで曖昧に理解しているようなんです。いわゆるアクセルの「遊び」の部分を多めにとっているような感じで、「これくらいの範囲だったら多少かみあわなくてもKYにはならないだろう」と、いい意味で適当に振る舞っていることが判明したのです。

INSEADの人たちは、3カ国語以上話せるなんてそんなに珍しいことではなく、しかも大部分の人たちが海外生活を経験しています。つまり、異文化交流のエキスパート。文化も言語も異なる人たちとの交流はこんなもんなんだ、という風に割り切っているんでしょう。

まあとにかくそれを知り、幾分か気持ちが楽になりました。

そして、今の私に何ができるだろうか、ということを冷静に考えることができるようになりました。

まず、これだけ授業が激しく忙しい中で、英語自体の訓練をする時間枠をとる余裕はなかったので、授業の復習をとにかくしっかりとやり、次の授業でおいていかれないように努力しました。不思議なもので、内容がわかるという安心感があると、毎回の授業において気持ちがしっかりと入り、集中して参加できるようになってきました。

また、グループワークとしての課題が出た際は、他のグループメートの担当のタスクであっても事前にレビューをして、わからない単語・内容を少しでもつぶしていくことにしました。それで、随分グループメートとの会話に食いついていくことができるようになりました。

あとは、友達との食事とかパーティへは、できる限り参加するようにしました。瑣末かもしれませんが、「誰が誰のことを好き」といったゴシップ系のことも含み、友達のキャラがわかるようになると、いい感じでツッコミが入れられるようになったりして、相手の英語の一語一句が全て理解できなくても、「いい加減に」会話ができるようになってきました。

これで私の英語力も随分改善されてきましたが、くすぶる感じは完全には消えませんでした。これがどうにも我慢できなくて、P2とP3の休み中には、これまた瑣末かもしれませんが、旅行等の合間をぬって、私の大好きなアメリカのドラマ「Sex and the City」を英語の字幕付きで見まくりました。これは割と効果が大きく、これまでどうしてもわからなかったナイジェリアやインド等のなまりが、すーっと耳に入ってくるようになったんです。字幕と一緒に聞くというのは、頭の中に記憶が定着しやすくなるみたいで、自分が言いたいことも詳細な表現で「言い当てる」ことができるようになってきています。

総括すると、私の英語力は、まだまだ及第点に達しているとは言えませんが、それでも入学以降、随分上達したと思います。引き続き、いい加減に、がんばりすぎず、しかし、ある程度の努力はおこたらず、といった感じでやっていけたらと思っています!

2011年2月12日土曜日

MARKSTRAT - Winner!

「Market Driving Strategies」では、ケーススタディを用いて戦略のいろはを学ぶだけではありません。マーケティングのシミュレーションゲームにより、これまでの知見だったり授業で得たことだったり等を応用していくパートもあります。

このシミュレーションゲーム、Markstratと呼ばれる、世界で最も有名なマーケティングシミュレーションゲームのひとつです。世界中の各ビジネススクールだけでなく、GM等の大企業でも使われています。

我が校INSEADのJean-Claude Larréché教授、Hubert Gatignon教授により考案されたものだそうで、「現実世界の環境でマーケティングの学びが得られるように」という強い思いが込められた、「action-based learning」のツールです。

さて、「Market Driving Strategies」では、クラスメート20人の中で4人ずつ5つのチームにわかれ、SONITEという架空の製品を市場に投入し、チーム間で戦っていきます。SONITEとは、どうやらコンピュータのような製品のようで、「重さ」とか「デザイン」とかの製品スペックを各チームが考えていきます。

つい昨日、(お産の直後だったので私は授業は出れなかったのですが)私のチームがダントツの一位でゴールインしたという、うれしいニュースがチームメートから届けられました!


しかしこのゲーム、本当によくできているゲームだと思います。

限りある予算の範囲で、製品スペックを最適なものにするためのR&D、認知レベルや購買意欲を高めるための宣伝費、チャネルを確保するための営業人員の配置等について、予算を配分していかなければなりません。また、機会損失/過剰在庫を防ぐための最適な生産量を決めていかなければなりません。

そのためには、市場成長予測などのマーケティング調査の結果やこれまでの自社のパフォーマンスデータ等をもとに、どの顧客セグメントをターゲットにするかという基本的な方向性を決めていく必要があります。

みんな頭の中ではわかったつもりになっていても、各種あふれんばかりのデータ、限りある予算、チーム員の固定観念があいまって、各チーム内の心理状況がおかしくなります。私のチームも一瞬そんな感じになりました。

しかし、たまたま4人中3人がコンサルタントだった(うち一人がものすごいゲーマー)こともあり、わりと早く正気に戻ることができました。そして、「来期に結果がすぐ出るアクション」「来来期以降結果が期待できるアクション」の2つにアクションを分け、打ち手を考えることにしました。

また基本戦略としては:

  • スタート時に、既存製品のシェアがもともと30%を上回っていたことと、
  • その製品を支持している顧客セグメントの市場規模(数)がそれなりにあったこと、
  • 彼らの「金払い」が良かったこと

を考慮し、その製品の徹底改良、および、宣伝、営業人員の配置に最も予算をつかい、BCGフレームワークでいうところの「Cash Cow」へと育て上げることにしました。また、引き続き当製品への投資を惜しまないだけでなく、他の新たな製品へのR&Dを行うといった「攻撃は最大の守りなり」を行うこととしました。

最初は、まだゲームのルールが完全に把握できてなかったので、これくらいの方向性しか立てていなかったですが、それでよかったみたいです。各社のパフォーマンスにより、市場規模だったり、顧客のニーズが「変化する」ようにプログラムされているためです。

当初のR&Dによりあらゆる製品が出来上がっていったのですが、マーケティング調査の結果や自社のパフォーマンスデータ等の詳細を分析して、これから優良顧客セグメントとなりそうなところを見いだしていき、基本は、ひとつの顧客セグメントに対し、ひとつの製品を投入したのです。また、そこへの宣伝、営業人員の配置を徹底して行いました。見込みのなさそうな製品については、「せっかくR&Dで投資したんだから」とい思いを断ち切り、投入をやめることにしました。

この「集中と選択」がどうやら良かったようで、瞬く間にトップの座を勝ち得ることができました。あとはひたすら攻撃をしつつ逃げ切り、という感じです!

他のチームが陥ってしまった罠は、予算の制限から、ひとつの製品で複数のセグメントを狙ったあげく、結局「二兎追う者は一兎も得ず」になったことだと思います。たとえば、広告宣伝費の内訳を見ると、一つの製品で5つのセグメントに対してアピールをするような設定になっているチームがありました。これでは、何をアピールしてもアピールポイントが曖昧になって顧客には届かなかったようです。

出産後届けられたこのうれしいニュース、がんばってやったかいがあったと胸を撫で下ろしています。ちなみに我々のチーム名は「Baby Boomers」。他の2人のチームメンバーもつい最近お子様が誕生したからです。そんなことも相まって、非常に団結したチームでした。意見の不一致等があっても、結局はどちらかが折れ、笑って流す、という雰囲気が出来上がっていったのです。近い将来、必ずこのチームが恋しくなるような気がします。。。

2011年2月11日金曜日

1週間もフライイング

予定よりも1週間はやく、我が娘が誕生いたしました!

2月3日。
午前中に授業を受け、そのまま町中の産科クリニックへ定期検診に行ったところ・・・

「これは今すぐ病院に行って下さい。おそらくそのまま出産体制に入ると思います」と。(フォンテーヌブローでは、出産はクリニックではなく全て病院で行われます)確かに授業中、じんわりと痛みが来ていましたが、まさかこんなに早くこの日が来てしまうとは!!

ドキドキしながら夫とともに病院へ向かうと、やはり強制入院となり・・・。

2月4日。
入院から実に22時間後。長かった。
愛娘の誕生です!

生まれてくれてありがとう。


2011年2月2日水曜日

黒いトイレットペーパー!? その2

さて、先日紹介した、我が校人気の「Market Driving Strategies」ですが、「こういう場合には、こういう効果/結果になるから、こんな風な一手を打つ」といった、非常に戦略的なアプローチを学ぶことができる授業です。

黒いトイレットペーパー!?のRenova社の話の続きですが、私たちINSEADの生徒に出された選択肢としては、黒いトイレットペーパーを出すというオプションの他に、
  1. 価格を下げる
  2. プライベートブランドのOEMを担う
という選択肢もありました。私たちは、その中から当時のRenova社にとって最適な戦略を選ばなければなりません。さて、どうしましょうか?

まず、「1.価格を下げる」ですが、

  • 競合であるプライベートブランドが益々力をつけていて、
  • しかも日用品のため、消費者が最も重視するのは「価格」。
  • 通常は、消費者に対して付加価値を伝えきるのは難しい。

ということを聞くと、じゃあ価格で勝負しているプライベートブランドに対抗という意味で特に不自然ではないと思いませんか? しかし、(あくまでもざっくりとですが)2つのデメリットを思い浮かべることができるようです。

まずは、儲けがどれだけへるからどの程度の追加の数を売らなければならないか、という算数を解かなければなりません。例えばの話、6ロール入りパックの希望小売価格を400円から1割引にして360円に下げるとします。

値引き前値引き後
小売価格
400円
360円
小売側の取り分
80円
80円
卸価格
320円
280円
原材料/人件費等のコスト
240円
240円
我々のもうけ
80円
40円

小売側の取り分が仮に値引き前の価格の2割である80円だとすると、値引きをしたからといって取り分まで下げてくれる親切な小売りはいないことが多いでしょう。また、原材料/人件費等のコストも仮に値引き前の価格の6割である240円とすると、そう簡単には変わりません。そうすると我々のもうけは、以前の80円から40円へと半分に減ってしまうのです。たった1割の値引きで、倍の数量を売らないと以前と同じもうけが得られなくなると言う訳です。

もう一つのデメリットは、流通コストをカットできるため強大な価格競争力を持つプライベートブランドとの価格戦争に陥ってしまうと、まあ負けてしまうだろうという筋書きが見えますね。また、商品棚をコントロールしているのもプライベートブランドを持つ小売側ですから、明らかに不利な立ち位置となりそうですね。

また、「2.プライベートブランドのOEMを担う」については、プライベートブランドに対して価格コントロールができるという点では戦略的に優位に立てるケースが多いようですので、これはメリットかもしれません。しかし、「健康、安心を提供する会社」Renova社にとっては、「安かろう悪かろう」のイメージの強いプライベートブランドのOEMをしているということが消費者に万が一知られてしまうと、これまで築き上げてきた差別化の努力がムダになってしまう可能性もあります。やり方によって効果は異なるかもしれませんが、Renova社の目指す方向性とはずれているように思われます。

という訳で、こんな形で検討していくと、これら2つの選択肢は違うかも、という結論にたどり着くと思います。だからといって突拍子もなく黒いトイレットペーパーという打ち手が最適という結論には一足飛びにはいかないと思いますが・・・。

Renova社は黒いトイレットペーパーを投入することで、トイレットペーパーメーカーとしての新たなポジショニングを確立しました。このあたりは、「マーケットをドライブする」という意味では右脳的志向も必要になるのだと思います。

ちなみに、Renova社は、2008年に我が国でも、表参道ヒルズにてキャンペーンを行ったことがあるようです。

2011年2月1日火曜日

生まれるサイン

出産予定の(ほぼ)10日前となりました。

のですが・・・。
ついおととい「おしるし」が確認されました。念のため、フォンテーヌブローのドクターのところに行ったら、「これはおしるしです」と断言。これがくると、体が出産体制に入ったことを意味するそうなんです。ただ、出産は翌日かもしれないし、数週間後かもしれないので具体的にいつやってくるかはわからない。

パパが明日の朝フランスに到着するので、あとちょっとだけ待っていてほしいなぁと思うのですが・・・。

いよいよ我が子も、外の世界にでる準備を進めているんだなぁという意味では本当にうれしいです!

黒いトイレットペーパー!?

INSEADのマーケティングの人気授業で、Market Driving Strategiesというのをとっています。これは、顧客のニーズをマーケティングに取り込むだけではなく、授業のタイトル通り、マーケットをドライブしていくことの重要性を考えさせられる授業です。

さて、「黒いトイレットペーパー」と聞くと、なんともあり得ないようなアイデアですが、これは、ポルトガルの中堅ファミリー企業のRenova社が数年前、市場に出すべきかどうかを真剣に悩んでいたケースです。

通常、ヨーロッパの先進国であれば、トイレットペーパーは家庭に十分普及しており、人口の成長が見込めない限り、市場が大きく成長することはないと考えられています。また、トイレットペーパーは価格設定が大きな勝敗要因となることから、スケールメリットを活かせるグローバル大企業(P&G等)、ないしは、流通コストを大幅にカットできるスーパーのプライベートブランド(カルフール等)が、トイレットペーパー市場で重要な地位を勝ち得ています。特にプライベートブランドは、ここ数年急速に成長しているという点で、Renova社のようなヨーロッパ拠点を中心とするナショナルブランドにとっては、大きな脅威となっています。

こうした流れに対抗すべく、ナショナルブランド各社が「トイレットペーパーにも付加価値を」と立ち上がりました。

まず最初の流れとしては、フランスのGeorgia Pacific社。3枚重ねバージョン、4枚重ねバージョンのトイレットペーパーを開発し、「破れない」「吸収力のある」をメリットに大成功しました。また、イタリアでは、Sofidel社が「4個のトイレットペーパーで10個分」をキャッチフレーズに、その名の通り、長持ちするトイレットペーパーを市場に投入し、ヒット製品として育て上げています。そしてドイツ、スイスでは、「ウェットトイレットペーパー」。これは、実に多くの消費者があらかじめ「濡らしてから」トイレットペーパーを使うという調査結果に基づいたものだそうです。

そこで、ドイツ、スイスの例からRenova社が思いついたのが、ローションと香油が配合されたトイレットペーパー「Renova Fraicheur」。フランス市場で投入され、Renova社のブランド認知を促進する足がかりとなりました。

Renova社は、「使い捨ての紙を作る会社」から「健康、安心を提供する会社」への脱皮を目指しています。そのために、広告、宣伝の仕方を変えました。有名な写真家を使い、トイレットペーパーの機能を訴えるのではなくて、Renova社の商品により満たされる生活シーンにスポットをあててブランドイメージの向上に努めました。

とはいえ、2005年時点でのRenova社の目玉商品は、未だ、「Renova Progress」と呼ばれる、付加価値のついていない日用品タイプのトイレットペーパーです。プライベートブランドの勢いはどんどん増していて、このままだと「Renova Progress」のシェアも落ち込んでしまうと見られていました。

創業一家のCEO、Paulo Pereira da Silva氏は、そこで黒いトイレットペーパーという奇抜なアイデアを考え出しました。そして、彼自身が最終的にこの商品の投入を決断しました。

「健康、安心を提供する会社」との関係は?と思わず首をひねりたくなりますが、これはあくまでもPR上の戦略。世界初の黒いトイレットペーパーでメディアの話題をかっさらい、流通の関心を引くことで、得意先を増やしていきました。売る場所が増えることで、同社の既存のトイレットペーパーの売上もあがる。このような方程式で「マーケットをドライブ」し、成功していったのです。

マーケティングにおけるコミュニケーション戦略で企業ブランドイメージの認知促進をしたい場合、確かに「意外さ」を訴えることで注目を集めるパターンが多いような気がします。Renova社の場合は、「意外さ」について、黒いトイレットペーパーという自社の商品を使うことで訴えていったという訳です。

相当の経営判断だったと思いますが、これもファミリー企業だからこそとれた一手でしょうか。

2011年1月31日月曜日

パリで一番狭い道

年末のことですが、東京からフランスを訪れていた夫と一緒に、パリに行ってきました。セーヌ川沿いを歩いていたら、夫がふと足を止め「あ、ここ確かパリで一番細い道だと思う」と一言。

本当に狭い道だったので思わず写真をぱちり。


2011年1月30日日曜日

気がついたら・・・

「おなかが下がってきてるね!」「もうすぐだね!」

初産なので私は気づかなかったのですが、INSEADには子供を産んでからMBA取得にきているママたちがたくさんおり、そうした先輩ママたちにこのように指摘されるのです。ママたちだけではなく、パパたちからも同様なコメントを次々ともらってます。

たしかに気がついたら、あと2週間くらいで出産予定日!
どうりでおなかが苦しいと思った。

そんな訳で、いつ何が起こるかわからないと思い、昨日あわてて新生児用のおむつを買いにいきました。ついでにウェットティッシュも。

ベッド、いす、お風呂、洋服は、ほとんどいただきものですが、ある程度そろってます。あとはベビーカーか。。。

海外でのM&A

つい一昨日、とっても好きだったM&Aの授業が終わってしまいました。

「M&As, Alliances and Corporate Strategy (MAACS)」という授業。教授は、Laurence Capron先生。厳格だけど品があり、暖かい。3児の母(らしい)。

たった8回の授業だったけれども非常に示唆の大きい授業でした。

世界中の企業のM&A動向を研究したアカデミックな研究結果を参考にしつつ、いくつかの企業のケーススタディをして、戦略との適合性、発生しうるリスクを考慮しながら具体的な実行案について考え、クラスで議論を戦わせるのです。

まず、改めてショックだったのは、「M&Aは、ほとんどの実施企業が実は失敗に終わっている」こと。確かに言われてみれば、合併のニュースが大々的にヘッドラインを飾ったかと思えば、実はうまくいかなかったという例が多いような気がします。

当然のことながら、企業の合併を考える際は、どの多角化を目指すのか、マーケットはどう反応するか、組織の統合のあり方、ネゴシエーション、進出先の特異な要素(とくにEmerging marketの場合)等、様々な側面から検討する必要があります。

M&Aの授業でしたが、結局のところ、「M&Aはあくまでも最後の手段であるのでそんなに簡単に手を出すべからず」というのがテイクアウェイでした。

M&Aは、企業が新しいことをしたいときにどうしても足りないところがあるから、では他の会社からリソース(人材とか、技術とか、営業拠点とか、工場等)を調達しちゃおう、というものです。ただ、一番お金がかかるだけでなく失敗のリスクが高い。お互いが目指す方向性の不一致、組織文化の差が大きな原因となるようです。

だから、そもそもの目的を達成するために:
  • 足りないところは内部のリソースでなんとかできないか
  • 足りないところだけを外注できないか
  • M&Aまでは深入りしないけれども、アライアンスというかたちで外注よりは深く提携しあえないか(大抵、株式の持ち合い等の関わりが発生します)

を検討しまくる必要があるのです。

M&Aは結局、法的な面から見ても同じ会社になってしまうという意味で、まるで結婚関係に例えられるとのこと。アライアンスはそれなりに深くかかわり合うけれども、比較的撤退しやすいという意味で、つき合っている時の関係として例えられます。いやだったら別れられますからね(場合によっては別れた後にひどいしこりが残るというのも似ているかもしれませんが・・・)。

だから、とりあえずつき合ってみて、どうしてもお互いが必要で、かつ、相性が抜群にいい、ということがわかってはじめて、結婚に進む。安易な比喩かもしれませんが、直感的にわかりやすくないですか?

なんでM&Aはリスクが高いのに、つき合うことなしに結婚を考えてしまう経営者が多いんでしょうね? 野望でしょうか?

M&A、アライアンスの成功例で個人的に特に面白かったのが、アメリカの会社シスコのM&A戦略のケーススタディと、我が国ホンダとインドのHEROのアライアンスのケーススタディでした。また別の機会に、紹介していきたいと思います。

2011年1月29日土曜日

はじめまして

2010年9月にINSEADのMBAプログラムに入学して、あっという間に4ヶ月がたちました。

初めての海外生活、初めての一人暮らし、初めての英語での勉強。

そして、初めての出産を経験します。

INSEADの授業で得たことや考えたこと、毎日の生活の中で感じたことを綴っていきたいと思います。