2011年2月12日土曜日

MARKSTRAT - Winner!

「Market Driving Strategies」では、ケーススタディを用いて戦略のいろはを学ぶだけではありません。マーケティングのシミュレーションゲームにより、これまでの知見だったり授業で得たことだったり等を応用していくパートもあります。

このシミュレーションゲーム、Markstratと呼ばれる、世界で最も有名なマーケティングシミュレーションゲームのひとつです。世界中の各ビジネススクールだけでなく、GM等の大企業でも使われています。

我が校INSEADのJean-Claude Larréché教授、Hubert Gatignon教授により考案されたものだそうで、「現実世界の環境でマーケティングの学びが得られるように」という強い思いが込められた、「action-based learning」のツールです。

さて、「Market Driving Strategies」では、クラスメート20人の中で4人ずつ5つのチームにわかれ、SONITEという架空の製品を市場に投入し、チーム間で戦っていきます。SONITEとは、どうやらコンピュータのような製品のようで、「重さ」とか「デザイン」とかの製品スペックを各チームが考えていきます。

つい昨日、(お産の直後だったので私は授業は出れなかったのですが)私のチームがダントツの一位でゴールインしたという、うれしいニュースがチームメートから届けられました!


しかしこのゲーム、本当によくできているゲームだと思います。

限りある予算の範囲で、製品スペックを最適なものにするためのR&D、認知レベルや購買意欲を高めるための宣伝費、チャネルを確保するための営業人員の配置等について、予算を配分していかなければなりません。また、機会損失/過剰在庫を防ぐための最適な生産量を決めていかなければなりません。

そのためには、市場成長予測などのマーケティング調査の結果やこれまでの自社のパフォーマンスデータ等をもとに、どの顧客セグメントをターゲットにするかという基本的な方向性を決めていく必要があります。

みんな頭の中ではわかったつもりになっていても、各種あふれんばかりのデータ、限りある予算、チーム員の固定観念があいまって、各チーム内の心理状況がおかしくなります。私のチームも一瞬そんな感じになりました。

しかし、たまたま4人中3人がコンサルタントだった(うち一人がものすごいゲーマー)こともあり、わりと早く正気に戻ることができました。そして、「来期に結果がすぐ出るアクション」「来来期以降結果が期待できるアクション」の2つにアクションを分け、打ち手を考えることにしました。

また基本戦略としては:

  • スタート時に、既存製品のシェアがもともと30%を上回っていたことと、
  • その製品を支持している顧客セグメントの市場規模(数)がそれなりにあったこと、
  • 彼らの「金払い」が良かったこと

を考慮し、その製品の徹底改良、および、宣伝、営業人員の配置に最も予算をつかい、BCGフレームワークでいうところの「Cash Cow」へと育て上げることにしました。また、引き続き当製品への投資を惜しまないだけでなく、他の新たな製品へのR&Dを行うといった「攻撃は最大の守りなり」を行うこととしました。

最初は、まだゲームのルールが完全に把握できてなかったので、これくらいの方向性しか立てていなかったですが、それでよかったみたいです。各社のパフォーマンスにより、市場規模だったり、顧客のニーズが「変化する」ようにプログラムされているためです。

当初のR&Dによりあらゆる製品が出来上がっていったのですが、マーケティング調査の結果や自社のパフォーマンスデータ等の詳細を分析して、これから優良顧客セグメントとなりそうなところを見いだしていき、基本は、ひとつの顧客セグメントに対し、ひとつの製品を投入したのです。また、そこへの宣伝、営業人員の配置を徹底して行いました。見込みのなさそうな製品については、「せっかくR&Dで投資したんだから」とい思いを断ち切り、投入をやめることにしました。

この「集中と選択」がどうやら良かったようで、瞬く間にトップの座を勝ち得ることができました。あとはひたすら攻撃をしつつ逃げ切り、という感じです!

他のチームが陥ってしまった罠は、予算の制限から、ひとつの製品で複数のセグメントを狙ったあげく、結局「二兎追う者は一兎も得ず」になったことだと思います。たとえば、広告宣伝費の内訳を見ると、一つの製品で5つのセグメントに対してアピールをするような設定になっているチームがありました。これでは、何をアピールしてもアピールポイントが曖昧になって顧客には届かなかったようです。

出産後届けられたこのうれしいニュース、がんばってやったかいがあったと胸を撫で下ろしています。ちなみに我々のチーム名は「Baby Boomers」。他の2人のチームメンバーもつい最近お子様が誕生したからです。そんなことも相まって、非常に団結したチームでした。意見の不一致等があっても、結局はどちらかが折れ、笑って流す、という雰囲気が出来上がっていったのです。近い将来、必ずこのチームが恋しくなるような気がします。。。

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